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S350

ポリマー材料中に分散したカーボンナノチューブの電気力顕微鏡観察

ポリマー材料中に分散したカーボンナノチューブ(CNT)を、走査型プローブ顕微鏡の一種である電気力顕微鏡(EFM)を用いて表面観察した結果を図1に示した。EFMの原理などについては走査型プローブ顕微鏡 -電気力顕微鏡-で紹介しているが、左図は原子間力顕微鏡(AFM)による表面形状像を示し、右図が電気力顕微鏡像で同一視野において測定されたものである。図1のように、AFM像ではCNTが明瞭には認められないことから、CNTの大部分はポリマーによって覆われているものと考えられる。一方、EFMではポリマー内部に存在するCNTを、プローブとの間に働く電気力の違いによって、ポリマーと識別することができる。EFM像で暗く表示されている箇所がCNTである。

図1:ポリマー材料中に分散したカーボンナノチューブの原子間力顕微鏡像(左図)および電気力顕微鏡像(右図)

図1:ポリマー材料中に分散したカーボンナノチューブの原子間力顕微鏡像(左図)および電気力顕微鏡像(右図)

また、表面から深さ方向の情報を得るために、ミクロトームによって断面試料を作製し、同様にEFMを用いて観察した結果を図2に示した。図2のように、表面から約1μm深さの位置にCNTが多く存在していることが分かる。
以上のように、EFMを用いることによって、ポリマー材料の表面近傍に存在するCNTを可視化することができる。

図2:カーボンナノチューブが分散したポリマー材料断面の原子間力顕微鏡像(左図)および電気力顕微鏡像(右図)

図2:カーボンナノチューブが分散したポリマー材料断面の原子間力顕微鏡像(左図)および電気力顕微鏡像(右図)

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