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S1901

走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscopy)

1. 特徴

金属、半導体などの導体から酸化物、有機物などの絶縁体まで幅広い試料において、表面形状および各種特性の測定が可能です。測定はグローブボックスを用いた大気遮断環境下で行います。また、液中(非水溶媒)での測定も可能です。

2. 原理、概略図

  1. 微小な探針(プローブ)を試料表面上で接触あるいは非接触で走査させることにより、ナノオーダーの分解能で表面微細構造(凹凸など)に関する情報が得られます。
  2. 探針(プローブ)の種類、測定モードなどを選ぶことにより、表面微細構造特性だけでなく、ナノスケール領域における様々な機械特性(粘弾性、吸着力)や電気特性(拡がり抵抗、表面電位、微小電流など)をイメージングできます。

図1:装置写真

図2:装置概略図

3. 主な性能

ブルカー社製 Dimension XR(NanoScope V)

測定範囲 水平方向 90×90µm(最大)
測定方法 形状測定、機械特性、粘弾性(数十〜300Hz)、微小電流、拡がり抵抗、表面電位などのイメージング測定
他に、1点における粘弾性の周波数特性の測定(0.1〜300Hz)も可能です。
測定温度 -35〜250℃
測定環境 Ar雰囲気下、非水溶媒中

4. 試料の形状、サイズ

形状 固体
サイズ 210mmφ(or 150mm□)×15mmt以下

5. 分析依頼時の留意点

  • 試料表面の汚れの付着などにご注意願います。
  • 試料は乾燥された状態である必要があります。
  • 帯電によるノイズが発現する可能性があります。
  • 液中測定に用いる溶媒は事前にご相談ください。
  • 最大高低差は10µmまで対応可能ですが、測定モードにより困難な場合があります。

6. 測定データ例

測定モード 測定対象 応用例 測定例
表面形状測定
  • 高さ
  • 表面粗さ
  • 接着性
  • 濡れ性
  • 光沢性

PS/LDPEの形状像

粘弾性測定
  • 貯蔵弾性率
  • 損失弾性率
  • 損失正接
  • 周波数特性
  • 温度特性
  • 相分離構造観察
  • 温度分散
  • 周波数分散

PS/LDPEの貯蔵弾性率像

電気特性測定
  • 微小電流
  • 拡がり抵抗
  • 仕事関数
  • 機械特性と同時測定可
  • 導体〜半導体の導電性分布、仕事関数分布
  • ドーパント分布

C/Siの拡がり抵抗像

硬い材料の弾性率測定
  • 貯蔵弾性率
  • 複合材料(金属、セラミックス含む)の観察

Al/Si/Crの貯蔵弾性率像

7. 適用材料例

(1)リチウムイオン電池材料 活物質(正極、負極)固体電解質、バインダー
(2)燃料電池材料 セパレータ、MEA
(3)有機複合材料 繊維強化プラスチック、ポリマーアロイ、多層膜
(4)無機複合材料 合金、複合材料
(5)その他 半導体材料、磁性体材料、CNT、ナノ粒子

SPM技術資料

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