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ケルビンプローブフォース顕微鏡による表面電位測定
図1:Al-Si-Auサンプルの形状像
図2:AM-KPFMによる表面電位測定結果
図3:PF-KPFMによる表面電位測定結果
走査型プローブ顕微鏡(SPM)の測定モードの一つにケルビンプローブフォース顕微鏡(KPFM)があります。MultiMode8 (ブルカー・エイエックスエス社製)では、PeakForceタッピング技術および周波数変調フィードバックを用いることにより、従来のAM-KPFMに比べて高い空間分解能を有し、シャープな電位コントラストを得ることができるようになりました。
測定例として、Siウエハ表面にAlおよびAuを蒸着したサンプルをPeakForce-KPFM (PF-KPFM)により測定してみました。
図1に測定サンプルの形状像を示します。図の左にAl蒸着膜、右にAu蒸着膜があり、Si表面が最も低い状態であることが分かります。
図2に従来のAM-KPFMによる表面電位の測定結果を示します。どちらの界面も滲んでしまい、明確な位置関係が分かり難い状況です。それに対して、PF-KPFMで同じ箇所を測定したところ、図3に示すように、界面における表面電位差がシャープに認められ、界面の位置が明確に分かりました。
このように、PF-KPFMでは局所的なコントラストをシャープに見ることができ、微小箇所における電位差をより明確に測定することが可能となりました。
以上のことから、LiBイオン電池電極断面の活物質の表面電位や有機太陽電池の超薄混合膜の表面電位などの測定に有効と思われます。
なお、PF-KPFMでは測定試料が軟らかいものであれば、機械特性の弾性率と吸着力の同時測定も可能です。