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LC/MS多変量解析による製品特性の解析(2)
- 緑茶ペットボトル2試料の差異解析 -
LC/MS及び多変量解析により複数試料の一斉分析が可能となりました(技術資料「LC/MS多変量解析による製品特性の解析(1)」参照)。ここでは2試料間の差異解析に有効なSプロットについて紹介します。Sプロットは、品質要因解析(良品と不良品の差異)、劣化要因特定(新品と劣化品の差異)、競合製品の比較(製造元の差異)などに利用できます。以下に2つの緑茶を比較した結果を示します。
Sプロット
Sプロットにより、お茶Aに特徴的な成分、お茶Bに特徴的な成分を見出すことができます。
図1中の1つのプロットは1つの成分を示し、保持時間及び質量の情報を保有します。カテキン類に関しては、保持時間と質量が既知のため、図1中に示すように同定できました。
図1:Sプロット
高分解能LC/MS測定
不明ピークの場合についても、高分解能LC/MS測定により、解析が可能です。
Sプロットにてお茶Bに特徴的な成分と検出された不明ピークm/z 757は、精密質量による組成推定の結果、分子式がC33H40O20と推定されました。
図2:高分解能LC/MS測定結果
高分解能LC/MS/MS測定
またMS/MS測定により、より詳細な構造情報が得られます。
この不明ピークm/z757のMS/MS測定の結果、フラグメントイオンの質量差より糖の存在が示唆され、ケンペロールの配糖体と推定されました。
図3:高分解能LC/MS/MS測定結果