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ASAP(大気圧固体試料プローブ)による質量分析
ASAPはAtmospheric Pressure Solid Analysis Probeの略で、右に示したプローブです。このプローブを用いた質量分析をASAP-MSと呼びます。
図1にASAP-MSのイオン源の構造を示します。プローブの先端のガラス棒に固体ないし液体試料を塗布し、加熱した窒素ガス(最大650℃)にて化合物を気化させ、コロナ放電にてイオン化し、質量分析部へ導入して検出します。
図2にASAPとLC/MSに用いられるESIおよびAPCIに適した化合物の関係を示しました。ASAPは、イオン化の特性から質量1,500程度までしか測定できませんが、より極性の低い化合物や、固体試料ないし懸濁溶液試料の測定などESIやAPCIで測定することができない試料を測定することができます。ASAP-MSにて、有機顔料、有機ELや難燃剤などの測定が可能です。
図1:ASAP-MSのイオン源 | 図2:各イオン化法の適した化合物 |
ASAP-MSの質量分析部はWaters製 SYNAPT G2-S HDMS(技術資料:液体クロマトグラフハイブリッド型質量分析計(LC-MS/MS))であるため、高分解能MS測定や高分解能MS/MS測定が可能です。得られるスペクトルから、組成推定や構造解析が可能です。