M239
テンプレートマッチングによる三次元繊維セグメンテーション
繊維強化プラスチック(FRP)における繊維の三次元(3D)解析のためには、一本一本の繊維を識別し、繊維径や長さなどの情報を得る必要があります。ここで問題となるのは、X線CTやFIB-SEMトモグラフィの3Dデータに対して、信号強度を元にしたセグメンテーション(関心領域の切り出し)では、繊維同士が分離できないことです。今回、テンプレートマッチングにより3Dデータにおける繊維の分離を行いました。
図1に繊維樹脂複合材料のFIB-SEMトモグラフィ信号強度によるボリュームデータを示します。いたるところで繊維同士が接している様子が伺えます。このデータに対して、繊維状のテンプレートを用いて類似した部分を抜き出すことで、単一繊維を識別します(図2)。この識別情報を元に、ボリュームデータを繊維単位に分離します(図3)。図3において、分離してセグメンテーションされた繊維毎に色を変えて表示しています。
図1:ボリュームデータ
図2:繊維識別
図3:ボリュームデータ分離
分離した繊維から得られる情報の例を表に示します。繊維径、曲路率(技術資料「STEMトモグラフィによる多孔質アルミナの細孔解析(2)」参照)、接触繊維数の分布を図4〜6に示します。これらの他にも繊維長や配向性の情報も得られますので、本技術は材料設計へのフィードバックなどのお役に立てると考えます。
繊維体積分率 | 17% |
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平均繊維径 | 2.3µm |
平均曲路率 | 1.02 |
平均接触繊維数 | 2.8本 |
図4:繊維径分布
図5:曲路率分布
図6:接触繊維数分布