S532
走査型プローブ顕微鏡による高分子フィルムの水中形状観察
走査型プローブ顕微鏡は、先端径数nmの探針で試料表面を走査しており、数〜10数nmの水平分解能で表面形状を観察することができます。特に、垂直方向の空間分解能は高く、サブnmの分解能で高さ計測することが可能です。このような特性は、水中環境下においても示され、浸漬状態の試料形状を高い分解能で観察することができます。
以下に、吸湿性の高い高分子フィルムについて、表面形状を大気中および水中環境下で観察した事例を示します。
高分子フィルム表面の形状像および断面プロファイル(観察視野:1×1μm)
水中環境下(2.5時間浸漬)の高分子フィルム表面には、大気中では観察されない微細な突起物が無数に観察されることが分かります。また、断面プロファイルより、水中で形成された突起物の高さは、数nm程度であることが分かります。
このように、走査型プローブ顕微鏡は、水中環境下におけるフィルム表面の形状変化を高分解能で観察することができます。