SEMによるEDS元素マッピングの比較
新規導入したブルカー・エイエックス製 XFlash®5060FQ と既存装置のエダックス製Genesis2000を用いて、SEMによるEDS元素マッピングの比較を行った。
新規導入装置の特徴は、試料直上にEDS検出器を配置する事で、発生X線を高効率・高感度で検出でき、また、4枚の検出器を同軸に配置する事で、等方的に発生X線を検出できる。そのため、低電流・短時間で分析が可能となり、有機材料等の電子線ダメージを受けやすい材料や立体傷害(穴の底や大きい粒子の隣など)を避けた分析が可能である。
そこで、市販のPTFEテープ材料を用いて、それぞれの装置で試料表面のEDS元素マッピング分析を行った。図1に、新規導入装置での結果、図2に既存装置での結果を示した。図1では、分析後も特に基材変形は無く、基材主成分であるFとCの分布を示した良好なマッピング像が取得できた。一方、図2では、分析中に熱収縮の影響と推察される基材変形が確認され、正しいマッピング像を取得できなかった。
この様に、新規導入した高感度EDS(XFlash®5060FQ)では、低加速電圧・低電流・短時間の分析条件においても、既存装置と比較して高い発生X線の検出強度が得られ、特に分析中の電子線ダメージを受けやすい材料の分析には有効である。
図1 新規導入したブルカー・エイエックス製 XFlash®5060FQ を用いた分析
分析条件:加速電圧3kV, 測定時間10min, 検出強度5000cps
図2 既存装置のエダックス製 Genesis2000 を用いた分析
分析条件:加速電圧15kV, 測定時間2hr, 検出強度1700cps