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顕微ラマン分光分析による結晶形の評価
二酸化チタン(TiO2)の結晶構造には、ルチル型(正方晶)・アナターゼ型(正方晶)・ブルッカイト型(斜方晶)の3種類がある。このうち、ルチル型は顔料として、アナターゼ型は光触媒として、広く用いられている。
ルチル型とアナターゼ型のラマンスペクトルを、図に示す。同じ二酸化チタンでも、ルチル型とアナターゼ型で、異なるラマンスペクトルが得られている。このように、顕微ラマン分光分析を用いると、化合物の結晶構造の違いを調べることができる。
結晶性試料の構造について調べる代表的な分析法に、X線回折法がある。X線回折法を用いると、試料の同定をすることはもちろん、結晶子のサイズといった詳細な情報を得ることもできる。
X線回折法に比べて顕微ラマン分光分析が有効であるのは、詳細な結晶構造解析が必要無い場合や、局所的あるいは表面の情報を得たい場合、さらには十分な試料量が用意できない場合などが挙げられる。顕微ラマン分光分析では、数µm角の試料面積でも分析が可能である。
図:二酸化チタンのラマンスペクトル(上:ルチル、下:アナターゼ)
※測定に用いたルチルには微量のアナターゼが含まれている