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S503

顕微ラマン分光分析によるポリマーの定性

図:ポリマーのラマンスペクトル

図:ポリマーのラマンスペクトル

ポリマーの定性を行う有力な分析法のひとつに、赤外分光分析(IR)がある。そのIRと同等の情報を、ラマン分光分析からも得ることができる。

右図に、代表的なポリマーのラマンスペクトルを示す。それぞれの構造に由来するピークが検出されていることが分かる。IRと同様に、試料のラマンスペクトルをデータベースと比較することにより、定性が可能である。

ラマン分光分析の特筆すべき特長として、煩雑な前処理が不要であり、非破壊での分析が可能である、ということが挙げられる。
試料の形状にとらわれず、フィルムでもパウダーでもペレットでも、液体であっても、そのまま測定ができる。また、透明な多層フィルムの分析においては、試料断面を作製することなく、各層の情報を得ることができる。

このように、ポリマーの定性において、ラマン分光分析は、赤外分光分析と同様に有力な分析法である。

しかしながら、ラマン分光分析は、IRと比較すると、データベースの量が劣ること、また、試料の蛍光発光によりピークが得られないことも多いこと、などの問題に注意が必要である。

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