S494
Electron Energy Loss Spectroscopy(EELS)スペクトル解析
−EELSによるカーボン材料のsp2結合割合の算出−
カーボン材料のEELSスペクトルの形状は結合状態に依存し、変化することが知られています。例として、グラファイト、ダイヤモンドのEELSスペクトル(C-Kエッジ)を図1に示します。
図1:EELSスペクトル(C-Kエッジ) (a)グラファイト (b)ダイヤモンド |
このようなEELSスペクトル(C-Kエッジ)の形状の違いを用いることで、カーボン材料のsp2結合割合を算出することが可能です。
カーボン材料のsp2結合割合は、グラファイトを標準試料とし、C-Kエッジおよび1s→π*ピークの積分強度を用いて、以下の式で算出できることが知られています*1。
f = (Iuπ*/Iu(僞)) / (Igπ*/Ig(僞))
Iuπ* | : | 未知試料のC-Kエッジ 1s→π*ピークの積分強度 |
Iu(僞) | : | 未知試料のC-Kエッジの積分強度 |
Igπ* | : | グラファイトのC-Kエッジ 1s→π*ピークの積分強度 |
Ig(僞) | : | グラファイトのC-Kエッジの積分強度 |
この式を用いて、非晶質カーボン材料(カーボン薄膜)を解析した結果、sp2結合割合を示すf値は0.83(83%)であることが分かりました(図2)。
図2:非晶質カーボン材料の解析結果 (a)TEM像 (b)EELSスペクトル(TEM写真中赤枠部) |
- *1 S.D.Berger and D.R.McKenzie, Philos.Mag.Lett.57, 285(1988)