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EDS法、WDS法による重複ピークの分析
EDS(エネルギー分散)法では、スペクトル上で近接するピークが重複してしまうことがあります。たとえば、NaとZnや、SiとSr、Ta、Wなど、いくつかの元素の組み合わせが知られています。特に異物分析の場合には、Naを検出する頻度が高いため、NaとZnに関する対策を紹介します。なお、EDS法のデータはシミュレーション計算値、WDS(波長分散)法は標準試料の分析結果を利用しています。
図1に、Zn-L線とNa-K線のEDSスペクトルを並べて表示しました。ピーク間の間隔が半価幅以下で、非常に近接したピークです。一般に、Znの有無は、高エネルギー側のZn-K線で確認できることから、「Zn存在下での、Na有無の判別」が問題となります。
図1:Zn-L線とNa-K線のEDSスペクトル
図2はNaとZnの強度が同程度の場合のスペクトルです。Znだけのピークから全体的に偏りますので、NaとZnを帰属のうえ、ピークフィッティングにより大まかな組成を計算することができます。
図2:ZnとNaの検出強度が同程度の場合
一方、図3に示すようにNa強度が微弱な場合、偏りが少なく、ノイズを含む実測定では、Naを帰属して算出した計算値を採用することはできません。
図3:Naの検出強度が弱い場合
そこでNaが微弱な場合には、WDS検出器を用いて分析・確認が可能です。WDS検出器は図4の結果に示すように、極めて高分解能でX線スペクトルを測定することができるため、特定元素の高感度検出などに効果的です。
図4:WDSによる測定例(標準試料データ)