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フッ素系潤滑膜のTOF-SIMS分析
Biイオン源を用いた飛行時間型2次イオン質量分析法(TOF-SIMS)により、試料表面に存在する元素や化合物の化学的な構造情報を、高感度かつ高質量・高空間分解能で得ることができます。有機分析手法において表面に存在する微量成分の分析が困難な場合に、表面のみを選択的に分析できるTOF-SIMSは非常に有効な分析手法になります。しかも、試料表面に存在する元素や分子の分布状態をサブミクロンオーダーの高空間分解能で得ることができます。ここでは、フッ素系潤滑膜の分析例を示します。
フッ素系潤滑膜(Fomblin系潤滑剤)は一般的に、-(-CF2-O-)m-(-CF2-CF2-O-)n-を主骨格とし、その末端基を変化させることにより潤滑膜の特性等を制御しています。図1に、種々のフッ素系潤滑膜の+2次イオン質量スペクトルを示します。これらのスペクトルでは、末端基の構造を示唆するフラグメントイオンが明瞭に観測されており、TOF-SIMS分析を行うことで表面に存在するフッ素系潤滑膜の末端基構造情報が得られることが分かります。
図1:フッ素系潤滑膜の+2次イオン質量スペクトル