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ARES-G2(動的粘弾性測定装置)を用いた伸長粘度測定
物質の流れには大きくせん断流動と伸長流動があります。せん断流動は管内の流れや、容器内の壁面での流れです。一方、伸長流動は材料が延ばされる変形であり、工業的には液体(溶融樹脂)が引っ張られて流動するプロセス(ブロー成形、紡糸、フィルム成形など)があります。
通常の回転型動的粘弾性装置ではパラレルプレートやコーンアンドプレートなどを用いてせん断流動の測定を行いますが、伸長粘度測定用治具(図1)を用いることで伸長流動の測定が可能です。測定は、試料を2つの円筒に熱融着させて、円筒を回転させて試料を伸長することで行われます。
伸長粘度測定で得られる情報は一軸伸長粘度やひずみ硬化性です。ひずみ硬化性とは、材料の伸長時にある時間(ひずみ量)で急激に粘度が増加する現象を言います。一般的には、ひずみ硬化性がある材料は成形時に樹脂自体の形を保持できるため、成形性が良好です。図2の測定例では分岐の多いLDPEが他の試料に比べ、ひずみ硬化性が強いことが分かります。
温度範囲 | ひずみ速度範囲 | 試験片サイズ(長さ×幅×厚み) |
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25〜350℃ | 0.01〜10 s-1 | 約20mm×10mm×0.7mm |