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マイクロ抽出法による多層フィルムの添加剤分析
プラスチック中の添加剤は、ソックスレー抽出法等の前処理を行い、その抽出液をGC/MSやLC/MSで分析することが一般的です。しかしながら、ソックスレー抽出法等は、グラムオーダーの試料が必要なため、微量の試料には不適です。一方、マイクロ抽出法は、ミリグラムオーダーの試料を超音波抽出します。
今回、マイクロ抽出法を多層フィルムの特定層の添加剤分析に応用しました。多層フィルムの断面の光学顕微鏡(OM)写真を図に示しました。フィルムは6層以上であることが分かります。ミクロトーム法により単離した約10mgの特定層をマイクロ抽出し、GC/MS測定することにより、5種類の添加剤を定性できました。
以上のように、マイクロ抽出法はミクロトーム法等と組み合わせることにより、微小領域の分析に有効であることが分かります。
図:試料の断面OM写真と分析対象層の抽出液のGCクロマトグラム
No | 推定成分 | 用途例 |
---|---|---|
1 | パルミチン酸エチル | 滑剤 |
2 | ステアリン酸エチル | 滑剤 |
3 | スミライザーGP*1 の分解物 | 酸化防止剤 |
4 | スミライザーGS*1 | 酸化防止剤 |
5 | Irgafos168*1 の酸化物 | 加工安定剤 |
*1 代表的な商品名