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P337

PPの最長緩和時間測定による成形性評価(2)

高分子材料の成形性評価方法の一つとして応力緩和測定があります。溶融状態で応力緩和挙動を測定することで樹脂の流れやすさ(成形のしやすさ)の判定に役立ち、成形性の良し悪しの要因究明として有用なデータとなります。
装置は溶融粘弾性測定装置(ARES-G2)を用い、コーン&プレート治具を使用して測定を行います。測定の手順は試料を溶融させてから一定時間定常流測定を行い、せん断(回転)を停止した後の応力緩和挙動を測定します。以下にMFR の異なるPP(ポリプロピレン:MFR=2、4、9)について200℃で測定した重ね書き(図1)及び定常流停止後の応力緩和挙動曲線の重ね書き(図2)を示します。図2の結果から停止後の緩和時間は、MFR値の高い順(流動性の高い順)に短くなっていることが分かります。

図1:PPの最長緩和時間測定の重ね書き

図1:PPの最長緩和時間測定の重ね書き

測定条件

装置 溶融粘弾性測定装置 ARES-G2(TA・インスツルメント・ジャパン社製)
ジオメトリー コーン&プレート 25mmΦ(コーンアングル:0.1rad.=5.7°)
定常流測定、せん断速度 1sec-1
測定時間 2分(停止後緩和挙動測定)
測定温度 200℃
雰囲気 窒素気流中
図2:定常流測定停止後の応力緩和挙動曲線の重ね書き

図2:定常流測定停止後の応力緩和挙動曲線の重ね書き

図2の応力緩和挙動曲線の傾きから次式を使って最長緩和時間を算出できます。

図3:最長緩和時間の算出式

上記の式から最長緩和時間(τm)を算出すると、MFR=9の値が最も小さく(最も速い)、これを基準に他の試料を比較するとMFR=4は3.5倍、MFR=2は4.4倍の値となりました。今回の測定結果では、最長緩和時間(分子の絡み合いがほどける時間)が最も速いMFR=9の成形性が一番良いと思われます。また、今回の結果からMFR値(流動性)と最長緩和時間には、相関関係があると考えられます。
今回は、MFR値の異なる試料について検討しましたが、フィラー等(種類、量や大きさ等の違うもの)を混合した試料について比較すると、さらに興味深い結果が得られると思われます。

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