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ポリプロピレン複合材料の分別−NMR・GPC分析
ポリプロピレン(PP)複合材料は、バンパー、インスツルメンタルパネル(インパネ)、ドアトリムをはじめとする様々な自動車部品に適用されています。各部品の要求性能に応じて、種々の性能を有するグレードが開発されています。PP複合材は、結晶性PP、非晶性エラストマー、有機添加剤、無機フィラーから構成されており、それらを様々に組合せることにより材料物性を制御しています。その中でも、結晶性PPと非晶性エラストマーの組合せは最も重要で、これらと物性の相関を解析することがPP複合材料開発には欠かせません。この解析には、製造された複合材料中のPPとエラストマーを精密に分析する必要があります。この分析には、分別−NMR・GPC分析が威力を発揮します。以下に分析フローと解析結果を示します。
組成 | モノマー含量(%) | 立体規則性 | 分子量(×103) | 抽出割合(%) | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
プロピレン | オクテン | エチレン | mmmm% | Mw | Mn | ||
結晶成分 | 94.1 | 0.0 | 5.9 | 97.3 | 151 | 67 | 51 |
ゴム成分 | 11.2 | 12.4 | 76.4 | − | 107 | 49 | 38 |
無機成分 | − | − | − | − | − | − | 11 |
これらの結果を総合的に考察することで、次に示すように材料それぞれの要求性能を評価することが可能です。
インパネ用PP複合材料a、b、cの解析例
分析結果を右図のように複合材料a, b, cで比較解析することで、各要求性能について各材料を順位付けできます。複合材料a, b, cの場合、複合材料bが各要求性能に対し最も優れている高コストグレードだということが分かります。
評価項目 | 順位付け | 根拠 |
---|---|---|
顔料発色性 | b > a > c | PPの結晶性 |
外観不良 | b > a > c | PPの結晶性・ゴムの分子量 |
材料低コスト性 | c > a > b | ゴム種・ゴム含有量 |
成形加工性 | b ≒ a > c | ゴム成分分子量・PP成分分子量 |
本法は、クロス分別クロマトグラフ(CFC)法では解析不能な樹脂種の判別が可能です。よって、材料の要求性能についてCFC法よりも詳細に考察することができます。