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P300

炭素繊維に塗布されるサイジング剤分析

炭素繊維(CF)にはサイジング剤が塗布されます。サイジング剤を塗布することで、次のような効果を上げることができます。CFと樹脂を複合させる際、CFと樹脂の結合程度を調節する効果があります。また様々な加工工程(繊維加工、成形加工など)における工程通過性を良くし、繊維の損傷を最小限にするとともに、より扱いやすいものにする効果もあります。このようなサイジング剤について以下のフローで分析することができます。

図1:分析フロー

図1:分析フロー

溶剤で抽出された成分のIRスペクトルを図2に示します。

図2:抽出物のIRスペクトル

図2:抽出物のIRスペクトル

IRスペクトルから、主成分はビスフェノールA骨格を有するエポキシ樹脂と推定されました。

洗浄前後におけるCFのSEM写真を図3に示します。

図3:洗浄前後のCF(左:前、右:後)

図3:洗浄前後のCF(左:前、右:後)

洗浄前のCF表面にはサイジング剤と思われる成分の付着が確認されるのに対し、洗浄後には確認されませんでした。

洗浄前後のCFを用いてマイクロドロップレット法にてナイロン6との界面せん断強度を測定しました。その結果を表1に示します。

表1:洗浄による界面せん断強度の変化
試料[洗浄前後のCF] 界面せん断強度(MPa)
44
75

洗浄前後のCFとナイロン6の界面せん断強度に差が見られました。本実験で用いた試料において、ナイロン6はサイジング剤よりもCF表面との接着性(分子間力やアンカー効果など)が高いため、界面せん断強度が増大したと考えられます。

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