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GC/MS[EI]とGC/MS[FI]を併用したアクリルモノマーの分析

アクリルモノマーは光硬化樹脂やUVジェットインクの原料として幅広く使用されています。アクリルモノマーの種類は、樹脂やインクの性能に大きく影響を及ぼすため、その分析には大きな需要があります。アクリルモノマーの簡便な分析法の1つにGC/MSがありますが、EI法ではフラグメントが生じやすく、分子イオンが得られないことが大半です。そのため、GC/MS[EI]のみではアクリルモノマーの定性が不十分な場合があります。この課題を解決する手法として、GC/MS[FI]を併用した分析法を紹介します。

FI(Field Ionization)法は、高電界中における試料からエミッター(陽極)への電子移動(トンネル効果)により試料をイオン化する手法です。この手法の優れた点は、非常にソフトなイオン化法であり、試料の分子イオンの質量情報のみを獲得しやすいことにあります。アクリルモノマー(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)を分析した際の典型的なGC/MS[EI]のマススペクトルイメージとGC/MS[FI]のマススペクトルイメージを図1に示します。

ペンタエリスリトールテトラアクリレート
図1:GC/MS[EI](上)とGC/MS[FI]のマススペクトルイメージ

図1:GC/MS[EI](上)とGC/MS[FI]のマススペクトルイメージ

このように、EI法およびFI法を併用することで、構造情報と分子量情報を取得することが出来、アクリルモノマーの定性が可能になります。

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