HOME > 分析対象 > 材料 > 有機材料
P277

赤外吸収スペクトルの二次微分解析による脂肪酸金属塩の定量

試料中の目的成分の濃度を測定するため、液体セルやKBr錠剤を用いてFT-IR測定する方法があります。これは透過測定により得られた吸光度の強度から、目的物の濃度を求めるもので、多種の分野で利用されています。一例としてステアリン酸リチウムを定量した結果を図1、2に示します。ステアリン酸リチウム濃度と1,579cm-1の吸光度に比例関係が成り立っています。

ところが実試料ではこの領域に水やアミン、カルボン酸塩、芳香族化合物などの吸収が重複して目的物単独の吸収強度とはなりません。このような場合はピーク分離等のデータ処理が必要となります。このような処理ソフトはFT-IR装置には付いていないため別途購入することになります。

このような場合、付属ソフトの微分解析を有効に使用することができます。図3に図1を二次微分解析した結果を示します。また図4から二次微分強度と濃度に比例関係が成り立っているのが分かります。特にこの方法では他成分との吸収の重複があっても吸収の傾きに差が認められれば、二次微分処理により他成分とのピークの分離も可能です。

図1:ステアリン酸リチウムの吸光度スペクトル

図1:ステアリン酸リチウムの吸光度スペクトル

図2:ステアリン酸リチウムの吸光度検量線

図2:ステアリン酸リチウムの吸光度検量線

図3:ステアリン酸リチウムの二次微分スペクトル

図3:ステアリン酸リチウムの二次微分スペクトル

図4:ステアリン酸リチウムの二次微分検量線

図4:ステアリン酸リチウムの二次微分検量線

前のページに戻るこのページのトップへ