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ポリプロピレンコンパウンドの分析
ポリプロピレン(PP)コンパウンドは自動車、家電製品、雑貨などの工業分野で、汎用エンジニアリングプラスチックとして幅広く使われています。
PPコンパウンドは主成分であるPPに、必要とする諸特性を満足するため他ポリマーや添加剤、補強剤などをブレンドした組成物です。
PP | 主成分 |
---|---|
他ポリマー | ゴムエラストマー |
添加剤 | 酸化防止剤、耐熱・耐候安定剤、滑剤、核剤、金属不活性剤 |
補強剤 | タルク、カーボンブラック、ガラス繊維、炭酸カルシウム、マイカ |
これら組成物は、PPコンパウンドの生産性、高次構造および物性を左右する重要な因子です。したがって、これら組成物を分析することは、研究開発、製造・品質管理を行う上で非常に重要なことです。
以下に示す方法でPPコンパウンドの総合分析が可能です。
- PPコンパウンドからPP、ゴムエラストマー成分を分離し、13C-NMRなどを用いポリマー成分の構造解析や組成割合を求めます。
- 通常の添加剤成分については、PPコンパウンドから溶媒抽出しGC/MS、LC/MS、FD-MSなどで定性し、GC、HPLCで定量分析します。
溶媒抽出しにくい添加剤(滑剤などの高級脂肪酸の金属塩、金属不活性剤CDA-1、CDA-6など)については、PPコンパウンドの状態で加水分解しGC/MS分析を行います。 - 補強剤の無機成分については、XRF、XRD分析で定性分析し、化学分解−ICP測定で定量分析します。
- カーボンブラック成分については、TGA測定によって定量分析します。