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1H-NMR分光法による無水マレイン酸グラフトポリオレフィンのグラフト率高感度定量分析
無水マレイン酸グラフトポリオレフィン(MA-g-PO)は機能性材料として様々な分野で利用されています。近年、ナノレベルで構造制御された複合材料用途でのMA-g-POの利用について多くの研究例が報告されています。このような用途でのMA-g-POのグラフト率(ポリマー中のグラフトMAの量)は0.1wt%以下と非常に低く、その定量分析は滴定やIRよる従来法では困難でした。しかし、グラフト率の定量分析は複合材料開発にとって非常に重要であり、簡便かつ正確な手法が望まれていました。
弊社では、超臨界メタノールによるグラフトMAのメチル化と1H-NMR定量法を組み合わせることで広範なグラフト率に適応可能な定量分析手法を開発しました*1。図1と表1に分析例を示します。本法によれば0.01wt%(100ppm)のグラフト率定量が可能です。
図1:1H-NMR spectra of Blend 1 (a) and methylated Blends 1 (b), 2 (c), and 3(d)
表1:Graft ratios determined by 1H-NMR spectroscopy of methylated Blends 1, 2, and 3
Blend 1 | Blend 2 | Blend 3 | |
---|---|---|---|
Observed(ppm) | 1026 | 481 | 105 |
Calculateda(ppm) | 1069 | 507 | 105 |
Observed/Calculated | 0.96 | 0.95 | 0.95 |
a Calculated by blending ratios of MA-g-PP or Blend 1 to Homo-PP.
- *1 Koji Miyauchi, Kyoichi Saito: Polymer, 52, 3519, (2011).