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液晶ポリエステルの熱分解同時誘導体化法による構造決定
加水分解可能なポリマー、たとえばポリエステル、ポリアミド、ポリイミドなどはアルカリあるいは酸にて、モノマー単位まで分解し、誘導体化後、GC/MSにて定性次いでGCにて定量という流れが従来からの一般的な手法ですが、測定までの前処理に多くの時間を要するため、少量の試料でより短時間でできる手法が多用されるようになってきています。そのひとつの方法が熱分解同時誘導化です。
これは、試料に強アルカリであるTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を共存させて熱分解を行います。エステルの場合には以下に示した様な反応により、ジカルボン酸成分はジカルボン酸ジメチル、ジオール成分はジメチルエーテルとして検出されます。
熱分解同時誘導体化法
図には、溶媒に不溶な液晶ポリエステルに適用した結果を示しました。熱分解温度条件を適切に設定すれば、このPy-GC/MSクロマトグラムのように、定性のみならず、構成成分の定量にも十分に耐えうるデータが得られます。
熱分解温度 | 400℃ |
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TMAH | テトラメチルアンモニウムハライドオキサイド |
図1:液晶ポリエステルのPy-GC/MSクロマトグラム(TMAH共存)