P264
Py-GC/MSによる黒色物中のバインダー樹脂の定性
ポリマー種の判定は、一般的にはIR法で可能ですが、黒い色の試料は透過率が低く良質のスペクトルを得ることは困難です。このような場合には、Py-GC/MS法が有効になることが多いです。IRスペクトルからの同定が困難であったバインダー樹脂を含む黒色物のPy-GC/MSより、樹脂の判定ができた例を示します。
550℃での熱分解したときに発生した成分の中にフッ化ビニリデン、トリフルオロベンゼンが明瞭に検出されました。この両者とも、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の代表的な熱分解生成物であることが知られており、このバインダー樹脂はPVDFと判定できます。
図:黒色物のPy-GC/MSクロマトグラム
|
バインダー樹脂 =PVDF |