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LC/TOF MSによる高分子添加剤の分析(フェノール骨格含有剤)
高分子材料には性能向上のために種々の添加剤が加えられます。添加剤はその目的のために様々な構造を持っています。これら構造の特徴をうまく利用することで液体クロマトグラフ(LC)/質量分析(MS)により、複数の高分子添加剤を一斉分析することができます。MSスペクトルを得るためのイオン化とLCによる分離について、その構造が影響すると考えられるフェノール骨格構造を持つ添加剤7種の一斉分析例を以下に示します。
LC/MSのイオン化法は主にESI法、APCI法があり、それぞれ測定時にはpos(+)モード、neg(-)モードの選択が必要です。比較的脱離し易いプロトン(H+)を持つフェノール骨格構造の場合、ESI negモードでプロトン脱離[M-H]-した構造のMSスペクトルを感度良く検出できます。(図1)
図1:Irganox1520LR(M=424)のMSスペクトル
LCの分離について、カラムの修飾基を一般的なODS(C18)と芳香族の分離に有効とされるフェニルとで比較した結果を図2と3に示します。フェニルカラムの方が保持は弱いですが、良好な分離が得られ時間も短縮できることがわかります。
ピーク番号 | 試料名(分子量) |
---|---|
1 | CDA-1(204) |
2 | CDA-6(498) |
3 | Yoshinox SR(358) |
4 | IrganoxMD1024(552) |
5 | TINUVIN326(315) |
6 | Irganox1520LR(424) |
7 | LA31(658) |
図2:各試料のMSクロマトグラム(ODSカラム)
図3:各試料のMSクロマトグラム(フェニルカラム)