O500
NMRによるラフィノース(三糖)の構造解析
糖類は、立体構造や結合位置が異なる異性体が存在するため、それらの判別や構造解析を行うことは非常に困難です。しかし、核磁気共鳴分析(NMR)は、有機化合物の立体的な位置関係や、結合のつながりを解析できる分析法であり、糖類の構造解析において有効な分析法となります。ただし糖類は、類似のスペクトルパターンを示すことがほとんどであるため、解析には様々な二次元測定を用いて、詳細に解析を行っていく必要があります。また、構成糖の数が増えるにしたがって各糖のシグナルが重なり合うため、解析はより困難となります。今回は、解析事例として、ラフィノース(三糖)の構造解析結果を示します。その結果、ガラクトース、グルコース、フルクトースの順に、(α1→6)、(α1→β2)にて結合した三糖であることが確認できました。
また、加水分解/HPLC分析による構成糖の同定分析を併用することで、より迅速で正確な解析を行うことが出来ます。
図1:NMRによるラフィノースの構造解析結果
- Gala
- :ガラクトース
- Glu
- :グルコース
- Fru
- :フルクトース
- 矢印
- :HMBCにおける遠隔相関
表1:1H-NMR ケミカルシフト | 表2:13C-NMR ケミカルシフト | |