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O499

NMRにおける1D-INADEQUATE測定

NMRによる有機化合物の構造解析は、COSY法やHMQC法など1H観測の二次元測定を駆使して行われます。さらに、13C観測の二次元測定であるINADEQUATE法にて、炭素-炭素の結合を調べることが出来れば、より正確かつ容易に構造解析を行うことができます。しかしINADEQUATE測定は、非常に感度が低く、高感度検出器CryoProbeを用いたとしても数十時間以上の測定時間を要することがほとんどです。しかも、試料量が十分ではない場合には、解析に足りるスペクトルを得られないことも十分起こり得ます。


そこで今回、このような問題を解決するひとつの方法として、“全シグナル”を一度に検出する二次元のINADEAQUATE測定ではなく、“ひとつのシグナル”に絞って測定を行う1D(一次元)-INADEQUATE測定を紹介します。1D-INADEQUATE測定は、測定対象となるシグナルは1本となりますが、測定時間を大幅に短縮(数十分の一以下)することができます。そのため、あるシグナルの情報を短時間で取得したい場合、また、感度(S/N)を向上させるために積算回数を増やしたい場合などには、有効な測定法となります。測定例として、下記に1-ブタノールの各シグナルについての1D-INADEQUATEスペクトルを示します。選択照射したシグナルに隣接する炭素のシグナルがダブレットとして検出されます。これらの結果から、A-B-C-Dの炭素のつながりを確認することが出来ます。

図1:1-ブタノールの13C-NMRスペクトル 及び 1D-INADEQUATEスペクトル

図1:1-ブタノールの13C-NMRスペクトル 及び 1D-INADEQUATEスペクトル

図1:1-ブタノールの13C-NMRスペクトル 及び 1D-INADEQUATEスペクトル

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