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シリカの固体29Si-NMR測定法
シリカ等の固体Si化合物の化学結合状態を評価する分析法として、固体29Si−NMRは非常に有効な分析法です。測定法として、DD(Dipolar Decoupling)法とCP(Cross Polarization)法の2種類があり、以下に2つの測定法の違いを紹介します。
DD法によるシリカの固体29Si−NMRスペクトルを図1に示します。Q3、Q4の構造を示すシグナルが検出されています。本法は、待ち時間を最適に設定することで、シグナルの積分比から各成分の比率を算出することが可能です。しかしながら、下記のCP法と比べ感度が低く、長時間の測定が必要になります。
CP法によるシリカの固体29Si−NMRスペクトルを図2に示します。CP法は、結晶性が高く、1Hが近傍に存在するSiを高感度に短時間にて検出することができる方法です。そのため、1Hが近傍にあるQ3のシグナルはQ4と比べ相対的に大きくなり、DD法では検出できなかった微量のQ2のシグナルを検出することができました。一方でQ4のように近傍に1Hがない成分や、結晶性の低い成分のシグナルについては、感度が低くなってしまいます。そのため、CP法でのシグナルの積分比は、各成分の比率を反映しません。
以上のように、シリカのSi化学結合の状態解析には定量や定性等の目的に応じてDD法とCP法を選択もしくは、併用して測定を行います。
図1:シリカの固体29Si−NMRスペクトル(DD法:40時間測定)
図2:シリカの固体29Si−NMRスペクトル (CP法:2時間測定)
Q4:−110ppm
Q3:−101ppm
Q2:−91ppm