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LC/MSを用いたグリセライドの分析
グリセライドとは、脂質の一種であり食品、潤滑油など様々な分野で使用されています。グリセライドは、グリセリンに脂肪酸がエステル結合した構造であり、脂肪酸の数および種類によって多種のグリセライドが存在します。
グリセライドの分析に高速液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS)を用いた結果を紹介します。
LC/MSの利点として以下のような事項があります
- ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)のような分析時に熱がかかる方法ではないため、グリセライドの構造を壊さないで分析できる
- 質量分析であるため、少量でもグリセライドの構造解析ができる
- カラムで分離するため、共存成分の影響を受けにくく、混合物で分析できる
一例として、代表的なグリセライドであるひまし油のLC/MS分析結果を示します。分子量のみからの構造推定ですが、脂肪酸の数および種類の異なるグリセライドが多数存在していることが確認されます。
ピーク | 分子量 | 脂肪酸 | |
---|---|---|---|
数 | 種類 | ||
(1) | 652 | 2 | リシノール酸×2 |
(2) | 932 |
3 |
リシノール酸×3 |
(3) | 912 |
3 |
リシノール酸×2、リノレン酸 |
(4) | 914 |
3 |
リシノール酸×2、リノール酸 |
(5) | 916 |
3 |
リシノール酸×2、オレイン酸 |
(6) | 918 |
3 |
リシノール酸×2、ステアリン酸 |
図1:ひまし油のLC/MS測定結果