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NMRによるシリコンオイルの微量分析
シリコンオイルは、潤滑、撥水、消泡などの優れた特長を持つことから、様々な製造プロセスにおいて用いられており、製品中への混入、残存が懸念される場合があります。それを確認するための分析手法としては、誘導結合プラズマ原子発光分光分析(ICP−AES)、ガスクロマトグラフィー(GC)、核磁気共鳴分析(NMR)等が挙げられます。
シリコンオイルの微量分析例として、NMRにおけるシリコンオイルの感度及び定量性について紹介します。下図に、クライオプローブ(高感度プローブ)を使用した場合のシリコンオイルの1H−NMRスペクトル及び検量線を示します。その結果、シグナルのS/N、検量線から、測定濃度としてppmオーダーの定量が可能であることが分かります。また、試料からの抽出や濃縮等の前処理を併用できれば、さらに定量下限を下げることも可能となります。ただし、多量のバックグラウンド成分が存在する場合には感度が低下することもあるため、前処理には十分な配慮が必要となります。
図1:シリコンオイルの1H−NMRスペクトル(拡大) (積算32回、クライオプローブ使用) |
図2:シリコンオイルの検量線 |