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O393

インクの組成分析

インクは主に溶剤・着色剤・樹脂・その他添加剤から構成されています。水溶性インクと油性インクの一般的な組成を表1に示します。

表1:インクの一般組成
成分 水溶性インク 油性インク
溶剤
  • 乾燥防止剤(グリセリン、グリコール他)
  • 浸透剤(アルコール、グリコールエーテル)
有機溶剤(ケトン、 アルコール、 酢酸エチル他)
着色剤
  • 染料(アニオン性アゾ、フタロシアニン等)
  • 顔料(カーボンブラック、 有機顔料)
  • 染料(アゾ系金属錯塩、 フタロシアニン等)
  • 顔料(カーボンブラック、 有機顔料)
樹脂 アクリル系のブロック共重合体 アクリル、 マレイン酸、 ロジン、 エポキシ、 シリコーン、 ブチラール等の熱可塑性樹脂
添加剤
  • pH調整剤(アルコールアミン、 NaOH等)
  • キレート化剤(EDTA)
  • 界面活性剤(ノニオン、 カチオン、 アニオン性等)
  • 防菌防かび剤
  • 導電付与剤
  • 可塑剤
  • 酸化防止剤
  • 紫外線吸収剤

表1に示したようにインク中には、低分子、高分子、イオン性物質、溶媒に難溶な物質、 キレート化合物、無機化合物等、それぞれ性質の異なった成分が多数含まれています。これら成分の分析を行うには、高度な分離分析技術が必要です。

インクの組成分析方法例を表2に示します。

表2:インクの組成分析方法
成分 分析方法
溶剤、 酸化防止剤、紫外線吸収剤、 可塑剤 GC/MS、LC/MS、FD-MS等
樹脂・界面活性剤
  • 溶媒抽出、GPC、イオン交換樹脂による分離精製
  • 分離精製成分のIR、NMR、FD-MS、Py-GC/MS等
着色剤
  • 溶媒抽出、HPLC分取、遠心分離等による分離精製
  • 分離精製成分のIR、NMR、FD-MS、加水分解GC/MS等
その他添加剤
  • LC/MS、IC、CE、CE/MS
  • 溶媒抽出、HPLC分取等による分離精製
  • 分離精製成分のIR、NMR

高精度・多目的に及ぶ分離技術、総合的解析力により、「インクの組成分析」のような複雑な組成物の全組成分析が可能になります。

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