O384
13C-NMRスペクトル(DEPT法)
13C−NMRスペクトルの感度を向上させ、また、各シグナルの級数を判別する手法として、DEPT法(Distorsionless Enhancement by Polarization Transfer)を紹介します。DEPT法では、13C核に結合した1Hの磁化を分極移動させることにより、13C核感度を向上させることができます。さらに、結合する1Hの数によって、シグナル強度のフリップ角度(θ)依存性が異なることから、13C核の級数(1級〜4級)を判別することができます。図1にフリップ角度(θ)を横軸とした級数ごとのシグナルの相対強度を示します。この図から、θ=45°、90°、135°において、級数の違いでシグナルの向きが異なる事が分かります (表1)。一般に、級数の判別には、135°のDEPTスペクトルがよく用いられます。
θ | CH3 | CH2 | CH | C |
---|---|---|---|---|
45° | − | |||
90° | − | − | − | |
135° | − |
−:消失
図1:シグナル強度のフリップ角度依存性
一例として、図2にケイ皮酸cis-3-ヘキセニルの13C-NMRスペクトル及びDEPTスペクトル(135°)を示します。
図2:ケイ皮酸 cis-3-ヘキセニルの13C−NMRスペクトル及びDEPTスペクトル(135°)