O357
NMRによる定量分析
NMRスペクトルのシグナル積分値(面積)は、基本的には対応する核の数に比例します。これを利用することで定量分析を行うことができます。以下に代表的な2つの手法を示します。
1. 相対定量法
混合物やポリマー試料において、その全構造が明確でかつ各化合物あるいは構造に対応するNMRシグナルが少なくともそれぞれ1種分離独立している場合、そのシグナル積分比(面積比)からモル組成比を求めることができます。さらにこのモル組成比に各化合物の分子量を掛けると重量組成比が求められます。
メタノール/アセトン混合液の1H-NMRスペクトル |
2. 絶対定量法(内部標準法)
すべての構造が明らかではない混合物中の目的化合物(構造既知)を定量する場合、NMR測定溶液中へ既知量の標準物質を添加することで、目的化合物の絶対量を定量できます。
定量方法(1H-NMR)
a | : | 試料重量(g) | b | : | 内標重量(g) | Mx | : | 定量化合物分子量 | Mst | : | 内標分子量 | |||
α | : | 定量化合物NMR定量シグナル積分値(面積) | β | : | 内標NMR定量シグナル積分値(面積) | |||||||||
Hx | : | 定量化合物NMR定量シグナルH数 | Hst | : | 内標NMR定量シグナルH数 | |||||||||
X | : | 定量化合物重量(g) |
試料中の定量化合物を x(wt%)とすると
b/Mst:X/Mx = β/Hst:α/Hx x (wt%)= X/a・100
x (wt%) = (Mx・Hst・b・α・100)/(Mst・Hx・a・β)