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M252

STEM-EDSによるプラスチックレンズ表面コート層の分析

メガネ用プラスチックレンズは軽量ですが傷がつきやすいためハードコート層が必要です。また、見えやすさのために反射防止コート層も欠かせません。今回、プラスチックレンズの表面コート層断面について、STEM-EDSにより分析を行いました。

暗視野STEM像とEDSマップを図1に示します。図1(a)中の矢印部に代表される筋は試料作製時に生じたクラックです。図1(b)は多元素のマップを合成した元素分布を示す像です。図1(a)中の領域1〜3の拡大STEM像を図2に示します。

コート層は大きく分けて3層構造と観察され、レンズ側からプライマー層、ハードコート層、反射防止コート層と考えられます。さらに、反射防止コート層は多層構造となっており、薄い層は20nm程度であることが分かります。また、ハードコート層とプライマー層には10nm以下の粒子が認められます。

以上のように、STEM-EDS分析により、プラスチックレンズ表面のコート層の構造を評価することができます。

図1:(a)暗視野STEM像、(b)EDSマップ(合成)

図2:拡大STEM像(a)領域1、(b)領域2、(c)領域3

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