M249
複合材中のセルロースナノファイバー(CNF)三次元解析
セルロースナノファイバー(CNF)/樹脂複合材における、CNFの形状、配向や分布は力学特性などに影響するため、三次元的な評価が重要となります。
CNF樹脂複合材をX線CT測定し、CNFをセグメンテーション(領域分割)しました(図a)。ボクセルサイズ2μmで認識できるバンドル状CNFの体積分率は0.7%で、極端な凝集はありませんでした。長さは6〜160μm、平均は14μm(図b)、アスペクト比(技術資料「三次元粒子形状評価」参照)は5.6以下、平均1.6(図c)と求まりました。
次に、CNFの配向角度を評価します。Z軸からの傾斜角度θと、水平(XY面)内での回転角φで表します(図d、図e)。角度θについては80°付近、角度φについては360°付近が多いことが分かります。CNFは概ねX軸方向に配向していると考えられ、複合材成型時の影響と推察されます。
最後にCNF間の距離を調査しました。各CNFの表面から最近接に存在する他のCNFまでの距離分布を求めたところ(図f)、2〜34μmの分布が認められ、平均距離9μmで分散していると考えられます。
CNFなどフィラーの形状、配向、分布の三次元解析は、材料設計へのフィードバックなどのお役に立てると考えます。
図:(a)個別CNF、(b)繊維長分布、(c)アスペクト比分布、
(d)配向角度分布θ、(e)配向角度分布φ、(f)最近接距離分布