M241
コンクリート中空隙の三次元マルチスケール解析
コンクリートは骨材をセメントペーストで固めたもので、nmからmmオーダーの幅広いサイズの空隙を含みます。これらの空隙は材料の性能に大きく影響するため、そのサイズ、分布、形状などの解析が重要です。今回、空間分解能が異なるX線CTとFIB-SEMトモグラフィを用いて、それぞれにコンクリート中の空隙を評価しました。
X線CTを用いて構造材料用コンクリート片の三次元データを得ました。信号強度に基づき空隙の分布を水色で図1-1に示します。なお、重元素を含む粒子も認識されました(黄色)。空隙の球相当径の個数分布を図1-2に示します。10〜800µm相当径の空隙が認められました。
次に、骨材を避けてセメントペースト部分を狙ったFIB-SEMトモグラフィにより、同様に空隙の分布を図2-1に示します。球相当径の個数分布 (図2-2)より、0.03〜6µm程度の球形や不定形の空隙が認められ、これらは毛細管空隙に相当すると考えられます。また、体積分率は比較して高い値を示しました。
以上のような空隙のサイズに適した三次元解析により、他にも空隙の形状パラメータや経路に関する情報を得ることも可能です。
図1-1:X線CTにより可視化した コンクリート中の空隙(水色) |
図1-2:X線CTより求めた空隙の球相当径分布 |
図2-1:FIB-SEMトモグラフィにより可視化した セメントペースト中の空隙(水色) |
図2-2:FIB-SEMトモグラフィより 求めた空隙の球相当径分布 |