M217
SEM-EBSDによる炭酸カルシウムの結晶方位解析
電気ポット内に堆積したスケール(炭酸カルシウム)の破片について、SEM-EBSD(M1303参照)により結晶方位を解析しました。
図1に炭酸カルシウムの表面SEM像を示します。約100µm以下の粒子が凹凸を形成している様子が分かります。
次に平面と断面について研磨面を作製し、EBSD測定を行いました。平面および断面の逆極点図方位マップを図2と図3にそれぞれ示します。各マップは表面方向に対する結晶方位をカラーキーの色で示しており、赤色系の粒子が多いことは炭酸カルシウム(calcite:trigonal)のc面(図2(c)参照)が表面方向に向く傾向があることを示唆しています。
確認のため、calciteのc面、m面、a面がどのように配向しているかを表す極点図を図4に示します。各極点図の中心が表面方向となります。c面は極点図の中心付近に強度を持つのに対して、c軸に直交するm面とa面は極点図の周囲に強度を持っています。これらの結果から、堆積時の成長方向である表面方向にcalciteのc軸が優先的に配向する傾向があると考えられます。
図1:炭酸カルシウムの表面SEM像 |
図2:(a) 平面逆極点方位マップ (b) カラーキー |
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図3:(a) 断面逆極点方位マップ (b) カラーキー |
図4:平面EBSD極点図 |