I387
ICP-MSによる希土類元素中の微量元素の分析
希土類元素はハイテク産業には欠かせない元素であり、ガラスの研磨剤や永久磁石等、幅広い分野で利用されています。これらの材料は品質管理項目として、不純物元素や添加元素の濃度管理が必要になります。
今回、Nd中の不純物元素の分析を検討しました。Ndを酸に溶解して100ppm Nd溶液を調製し、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)による測定を行ったところ、NdO(m/z=158〜166)スペクトルがTb(m/z=159)やDy(m/z=158〜166)に干渉し、定量分析ができませんでした(図1)。そこで、トリプル四重極型ICP-MS(ICP-QQQ)によるマスシフト法による干渉除去を検討しました。Tb測定ではアンモニアガスを用いて159TbNH+(m/z=174)として、Dyは酸素ガスを用いて163DyO+(m/z=179)として、それぞれプロダクトイオンに変換して検出することでNdの分子イオンとスペクトル分離することが出来ました(図2)。その結果、100ppm Nd溶液中のTbの定量下限値が0.1ppb、Dyの定量下限値が1ppbと良好な結果が得られました。当社では金属材料中の極微量不純物元素の分析法開発に積極的に取り組んでいます。
図1:ICP-MSのマススペクトル
図2:ICP-QQQのマススペクトル