F018
EGA*-MS測定によるガスの発生状況
*:Evolved Gas Analysis
ガスの発生状況(温度依存性)は、通常TG-MSで測定しますが、試料量が極端に少ない場合、加熱炉で発生したガスがMS装置まで到達しにくくなり、測定困難になります。これは、加熱部とMS装置を接続しているラインが長いため、コールドトラップ(低温部でのガス凝縮)等により、測定感度が低下するためです。
一方、EGA-MS法は、加熱部とMS装置間のラインが殆どなく、ガスの凝縮が起こりにくい装置構造になっているため、TG-MSに比べ、高感度で測定できます。装置上、TGによる重量減少は同時測定できませんが、TG-MSクロマトグラムと同様なデータが得られます。
EGA-MS測定は、加熱炉として小型の電気炉を用いており、He雰囲気下において約40℃〜800℃までの温度範囲での測定が可能です。以下に分析事例として、微量シリコーン樹脂の発生状況を示します。
微量シリコーン樹脂の発生状況
シリコーン樹脂の分解成分である環状シロキサン3量体(ヘキサメチルシクロトリシロキサン)の特徴イオンとして、m/z=207によるマスクロマトグラムを作成してシロキサンの発生状況を調べました。300℃弱付近から500℃付近にシロキサン(シリコーン樹脂分解成分)が発生していることがわかります。
図:シロキサンの発生状況