高分子添加剤のマイクロ抽出分析

高分子添加剤を分析するための添加剤抽出法として、ソックスレー抽出法が広く一般的に知られています。この手法は、高分子に含有されている溶媒可溶な添加剤を概ね漏れなく抽出できます。しかし、1g以上の高分子材試料が必要かつ抽出処理（粉砕、抽出、精製）に3日程度を要するため、少量の試料を多数比較分析したい場合には適用が困難でした。そこで、当社では僅か10mgの試料について、半日程度抽出処理することで分析可能なマイクロ抽出法を開発しました。以下に1つの高分子材料についてマイクロ抽出法およびソックスレー抽出法によってそれぞれ得られた抽出液のGC-MSクロマトグラムを示します。

図：抽出液のGC-MSクロマトグラム

マイクロ抽出法によって、ソックスレー抽出法と同等の結果が得られていることが分かります。高分子材種や添加剤種によって、必ずしもソックスレー抽出法と完全一致しない場合もありますが、マイクロ抽出法は、高分子成形品の極一部分（例えば劣化部）を迅速に、多数、相対比較分析する手法として非常に優れています。