C024
化学反応および1H-NMRを組合せた無水マレイン酸グラフトポリオレフィンの極微量グラフト構造解析
無水マレイン酸グラフトポリオレフィン(MA-g-PO)は、ポリオレフィン系複合材料開発のキーマテリアルとして近年広く利用されています。複合材料に利用されるMA-g-POのグラフト率は一般に数百ppm以下程度と非常に低く、MA-g-POそのままの分析ではそのグラフト構造を捉えることは困難です。そこで、我々はグラフト無水マレイン酸を超臨界メタノールによってメチル化し、続いて1H-NMR解析する手法を開発しました。図にメチル化したMA-g-POの1H-NMRスペクトルを示します。
図:メチル化MA-g-POの1H-NMRスペクトル
上段:MAオリゴマーグラフト
下段:MAモノマーグラフト
グラフトMAをメチル化し、1H-NMR測定によってOCH3ピークを用いて定量することで、100ppmまでのグラフト率を定量できます*1 。さらに、グラフト構造がMAモノマーなのかMAオリゴマーなのかを識別することも可能です。
*1 Koji Miyauchi, Kyoichi Saito: Polymer, 52, 3519, (2011).