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C018

ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)における相対分子量と絶対分子量(粘度法)の比較

GPC(Gel Permeation Chromatography)とは、細孔を有するカラムを用いることによって、測定対象物を分子サイズの違いで分離する手法で、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)とも呼ばれます。GPCの測定法は、相対分子量分布測定と絶対分子量分布測定の2種に大別されます。
示差屈折率(RI)検出器や紫外可視吸光光度(UV)検出器による相対分子量分布測定は、同一構造の試料間の比較を行う上では有用ですが、算出される数値があくまで基準物質換算であることに留意しなければなりません。試料と基準物質の分子構造が異なれば異なるほど、算出される数値と真の分子量の乖離は大きくなります。
粘度法は絶対分子量分布測定法の1つです。RI検出器と粘度計を併用することで、あらゆる種類のポリマーに適用可能な検量線(ユニバーサルキャリブレーション)を作成し、真の分子量(絶対分子量)を算出します(図)。

図:通常の検量線とユニバーサルキャリブレーションの違い

図:通常の検量線とユニバーサルキャリブレーションの違い

ポリスチレン(PS)及びポリプロピレン(PP)試料の、相対分子量(PS換算)及び絶対分子量(粘度法)測定の結果を表に示します。
PS試料では相対と絶対のいずれにおいてもカタログ値と比較的近い値が得られましたが、PP試料では相対測定においてカタログ値より約1.5倍大きい数値が算出されました。これは、基準物質のPSがPP試料と分子構造が大きく異なるためです。粘度法による測定では、PP試料においてもカタログ値とほぼ同等の結果が得られました。

表:GPC測定結果
試料名 算出方法 重量平均分子量
PS試料 カタログ値 290,000
相対分子量(PS換算) 314,000
絶対分子量(粘度法) 309,000
PP試料 カタログ値 108,000
相対分子量(PS換算) 163,000
絶対分子量(粘度法) 116,000
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