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C017

メラミン樹脂の詳細構造解析

 塗料用樹脂等に用いられているメラミン樹脂は、メチロール化、アルキル化されており、これを加熱すると硬化し、塗膜を生成します。

図:メラミン樹脂のメチロール化、アルキル化

メラミン樹脂は、メチロール化度およびアルキル化度が異なる多種類の分子の混合物であり、樹脂組成によりその物性は複雑に変化します。
NMR測定およびFD-MS測定によって、メラミン樹脂のメチロール化度およびアルキル化度等の詳細構造解析が可能です。

メラミン樹脂の官能基の例
メチロール化 アルキル化
ジメチロール化 -N(-CH2-O-)2 メチル化 N-CH2-O-CH3
モノメチロール化 -NH-CH2-O- ブチル化 N-CH2-O-C4H9
未反応 -NH2 未反応 N-CH2-O-H
NMRによる官能基の詳細構造解析
13C-NMRの化学シフト値から、メラミン樹脂の官能基や結合様式等の解析が可能です。さらにNMRピーク面積比から、メチロール化度およびアルキル化度を算出できます。13C化学シフト値が不明な場合でも、1H-NMRやHMBCと組み合わせることで不明構造を解析できることがあります。
メラミン樹脂の13C-NMR化学シフトの例
図:メラミン樹脂の13C-NMR化学シフトの例 新版 高分子分析ハンドブック 日本分析化学会編、p1,689(1995)
FD-MSによる分子量分布評価
FD-MSでは分子量を反映したイオンピークが観測されます。分子量が異なる多数成分の混合物であるメラミン樹脂について、定量性はありませんがMSピークの本数で分子量分布や分子種分布を評価できます。
またNMRでは部分構造(メチロール基やアルキル基の種類と平均個数等)に関する知見しか得られませんが、FD-MSと組み合わせると個々の分子の構造を特定できます。
メラミン樹脂のFD-MS解析例
図:メラミン樹脂のFD-MS解析例 熱硬化性樹脂 1、18(1980)
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