HOME > 分析対象 > 材料 > 高分子材料
C010

光散乱検出器による絶対分子量及び分子サイズの算出

GPC(Gel Permeation Chromatography)とは、細孔を有するカラムを用いることによって、測定対象物を分子サイズの違いで分離する手法で、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC: Size Exclusion Chromatography)とも呼ばれます。光散乱検出器を用いると、試料の絶対分子量及び分子サイズ(慣性半径Rg: Radius of gyration)を算出することができます。なお、光散乱検出器のピーク強度は分子量に依存するため、低分子量の試料については分子サイズを測定することは困難です。大まかな目安として、Mw値が10万以上の試料が測定対象になります。

慣性半径Rgとは

溶液中の高分子鎖を球体とみなした時の、重心から末端までの距離を指します。

図1:Rgの模式図

図1:Rgの模式図

光散乱検出器による絶対分子量及びRgの算出方法

光散乱検出器を用いたGPC測定では、Zimmプロットをベースに絶対分子量及びRgを算出します。GPCでは希薄溶液下で測定を行うため、c = 0における複数の角度の散乱強度をプロットし、その切片からMw、傾きからRgを求めることができます。

図2:Zimmプロット

図2:Zimmプロット

弊社が所有する光散乱検出器は、7°と90°の2角度から散乱強度を検出します。高分子領域(> 10 nm)では、2角度での散乱強度をプロットした直線の切片から分子量を、傾きからRgを算出します。一方、低分子領域(< 10nm)では、散乱強度の角度依存性がほとんど見られない為、90°における散乱強度から分子量を算出します。

図3:光散乱検出器による絶対分子量及びRgの算出

図3:光散乱検出器による絶対分子量及びRgの算出

測定事例

測定試料 ポリメタクリル酸メチル
溶離液 ヘキサフルオロイソプロパノール
図4:各検出器の溶出曲線

図4:各検出器の溶出曲線

図5:分子量分布曲線及びRg

図5:分子量分布曲線及びRg

表1 絶対分子量分布測定結果

Mw Mn Mw/Mn Rg(nm)
104,000 53,500 1.9 37
前のページに戻るこのページのトップへ