C004
ポリエチレン劣化構造の1H-NMR解析
ポリエチレンは熱や光によって劣化し、対候性も十分ではありません。大澤は、「劣化が開始され活性なラジカルが生成すると、酸素と速やかに反応しペルオキシラジカル(ROO・)を生成して、自動酸化的に劣化は進行し、酸素を含む種々の官能基を生成する。同時に架橋反応も容易に起こる。」*1 と述べています。

図1:ポリエチレンの劣化機構*1
このように生成した劣化構造は、ポリマー主鎖構造に対して通常は極微量です。よって、これら劣化構造を明確に捉えることは簡単ではありませんが測定条件を工夫することにより、1H-NMRスペクトルで観測可能です。図2に劣化したポリエチレンの1H-NMRスペクトルを示します。図1の○で囲った劣化構造が明確に捉えられています。

図2:ポリエチレン劣化構造の1H-NMRスペクトル
*1 大澤 善次郎 著:高分子劣化・長寿命化ハンドブック, p.215(2011)