B118
強酸のカールフィッシャー水分滴定法による水分量測定
無機酸は、カールフィシャー滴定系のpHを低下させ、反応速度を著しく減少させるため、滴定開始前にpH調整試薬で中和した後、滴定を行います。
1.実験
1.試料
濃硫酸
2.装置
容量滴定式カールフィッシャー水分計(京都電子工業製 型式:MKA-610)
3.試薬
脱水溶媒 | メタノールドライ |
---|---|
pH調製試薬 | バッファーアシッド (Honeywell製) |
滴定液 | コンポジット2 (Honeywell製) |
4.測定方法
滴定フラスコに脱水溶媒とpH調整試薬を入れ、予備滴定を行って、滴定フラスコ内を無水状態にします。次に、試料を投入し、水分量を測定します。また、pH調整試薬を添加した時と同様の操作方法でpH調整試薬を添加しない試験を実施します。
2.結果
pH調整試薬 | |||
---|---|---|---|
測定回数 | 測定値(%) | 平均値(%) | |
有り | 1 | 2.3450 | 2.35 |
2 | 2.3699 | ||
3 | 2.3356 | ||
無し | 1 | 1.7443 | 1.66 |
2 | 1.6692 | ||
3 | 1.5687 |
図:滴定曲線(左:pH調整試薬有り、右:pH調整試薬無し) |
pH調整試薬を添加しない場合は、反応が遅く、再現性もありません。pH調整試薬を添加する事により、滴定は短時間で終了し、滴定曲線も理想的な形状になり、精度の良い測定が可能です。