B117
強塩基性アミンのカールフィッシャー水分滴定法による水分量測定
強塩基性アミンは、カールフィシャー試薬を消費し、終点を不明瞭にするため、滴定開始前にpH調整試薬で中和した後、滴定を行います。
1.実験
1.試料
ヘキサメチレンジアミン
2.装置
容量滴定式カールフィッシャー水分計(京都電子工業製 型式:MKA-610)
3.試薬
脱水溶媒 | メタノールドライ |
---|---|
pH調製試薬 | サリチル酸 (Honeywell製) |
滴定液 | コンポジット2 (Honeywell製) |
4.測定方法
滴定フラスコに脱水溶媒とpH調整試薬を入れ、予備滴定を行って、滴定フラスコ内を無水状態にします。次に、試料を投入し、水分量を測定します。また、pH調整試薬を添加した時と同様の操作方法でpH調整試薬を添加しない試験を実施します。
2.結果
pH調整試薬 | |||
---|---|---|---|
測定回数 | 測定値(%) | 平均値(%) | |
有り | 1 | 0.2043 | 0.23 |
2 | 0.2265 | ||
3 | 0.2519 | ||
無し | 1 | 0.7954 | 1.76 |
2 | 2.2745 | ||
3 | 2.2153 |
図:滴定曲線(左:pH調整試薬有り、右:pH調整試薬無し) |
pH調整試薬を添加しない場合は、短時間で終点が検出されないため、過滴定状態になり、分析値は高めで、再現性もありません。pH調整試薬を添加する事により、短時間で終点が検出され、滴定曲線も理想的な形状になり、精度の良い測定が可能です。