B112
極限粘度
極限粘度は固有粘度とも呼ばれ、ポリマー溶液の重要な物性値で、無限大の溶媒中に1個のポリマーが溶解したときの粘度の増加量に比例します。その値は、ポリマーと溶媒の特性によって決まります。一般にポリマーの分子量に依存し、[η]=KMα(Mark-Houwinkの式)が成り立ちます。
ポリマー溶液の粘度をη、溶媒の粘度をηsとしたとき、粘度の増加率は(η-ηs)/ηsとなり、これを比粘度ηspと言います。
ポリマーの単位濃度cあたりの粘度の増加量はηsp/cとなり、これを還元粘度ηredと言います。
極限粘度[η]は、還元粘度をポリマー濃度がゼロになるように外挿することで求められます。
実験的に極限粘度は、ウベローデ粘度計のような毛細管粘度計を用い、毛細管を液体が流下する時間から求められます。ポリマー溶液の流下時間をt、溶媒の流下時間をtsとした時、還元粘度は、流下時間とポリマーの濃度との間に以下の関係が成り立ちます。
ポリマー溶液の希釈溶液をいくつか調製し、還元粘度を求め、下図のように濃度と還元粘度との関係をプロットします。直線で近似した時の切片から極限粘度が得られます。