S0502
走査型電子顕微鏡(JSM-7000F)
1. メーカー・型式
日本電子(株)製 電界放出型走査型電子顕微鏡:JSM-7000F
走査型電子顕微鏡(SEM)は電子線を利用して微小な表面構造を鮮明に観察することができます。さらに、焦点深度が深い像が得られることから、凹凸の激しい試料表面の構造を拡大して、三次元的な画像が観察できる装置です。JSM-7000Fは試料に関する汎用性が高く、EDS(エネルギー分散型特性X線)分析装置と、WDS(波長分散型特性X線)分析装置を取り付けています。
装置の構成
2. 原理および特徴
- 金属チップ先端に強電界をかけると、トンネル電子が真空中に飛び出してきます。この電子線は高輝度で、且つエネルギー幅が小さいため、高分解能観察が可能となります。特に低加速電圧においても高い分解能を示します。
- アウトレンズ方式の採用により、試料サイズ、材質の制約が少なく、汎用性が高いことが特徴です。
- 試料から発生する特性X線を検出して、微小領域の元素分析(B〜U)を行うEDS分析とWDS分析が可能です。EDS分析は複数の元素を同時に測定することが可能であり、WDS分析は優れたエネルギー分解能によって、EDS分析で識別困難な特定元素の高感度検出に効果的です。
- 電子銃は電界放出型(サーマル型)であり、長時間の安定運転が可能で、低加速電圧や高画素数での長時間EDSマップが可能です。ビーム電流を大きくしても、分解能低下が少ない設計となっており、低加速電圧(大電流)で、高倍率・高分解能のEDSマッピングが可能となっています。
3. 主な性能、仕様、付属品
電子銃 | 電界放出型(サーマル型) |
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分解能 | 二次電子像 1.2nm(30kV)、3.0nm(1kV) |
倍率 | ×10〜×500,000 |
加速電圧 | 0.5〜30kV |
検出方法 | 二次電子像、反射電子像 |
4. 試料形状・サイズ
形状 | 86mmφ×40mmH以下 |
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5. 分析依頼時の留意点
- 機械研磨、ミクロトーム法、CP法、FIB法による断面加工が必要な際は、試料作製時に水・有機溶媒や各種樹脂等を使用するため、耐熱性、吸湿性、耐薬品性の情報が必要です。
- 試料取り扱いの際、試料表面の汚染に注意してください。
- 真空中で揮発する試料は測定できません。
6. 応用分野と分析例
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形態観察・組成分析・半定量分析
【製品中や製品工程途中の異物の分析(材料全般)】 -
高倍率・高分解能EDS分析
【表面のダメージを抑え軽元素のみに着目したEDS分析・マッピング(窒化物、ホウ化物、炭化物など)】 -
EDS画像連結
【画像連結による超広範囲EDSマッピング(1mm以上の大きな材料)】 -
複数条件測定
【加速電圧の調整による深さ方向の分布調査(薄膜材料など)】
前処理装置技術資料
- クロスセクションポリッシャ(CP) (S0503)
- 洗濯用洗剤粒子の断面加工(S361B)
- 研磨による試料断面の作製方法(S371A)
- 雰囲気遮断ホルダ―を用いたSEM観察(S421)
- 大気非曝露冷却クロスセクションポリッシャ(S1405)