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THF溶媒使用時のAmes試験について
Ames試験において、被験物質溶液の調製溶媒の一つとしてTHF(Tetrahydrofuran,テトラヒドロフラン)があります。Ames試験における調製溶媒としてのTHFの特徴、THFを調製溶媒と使用する場合の特殊性を解説します。
- ①脂溶性の化合物やポリマーに対する調製溶媒としての使用
- Ames試験を実施する際の調製溶媒は、被験物質が溶媒に溶解、あるいは均一に懸濁する必要があります。被験物質が脂溶性の化合物やポリマーですと、水、DMSO、アセトンといった、Ames試験で一般的に使用される溶媒には不溶である一方、THFに溶解、あるいは均一に懸濁する場合があります。
- ②低反応性
- THFは環状エーテルであり、DMSO、アセトンのように反応性のある置換基を有さず、概して反応性の乏しい溶媒です。反応性の高い化合物でも、THFに溶解、あるいは均一に懸濁するのであれば、Ames試験で使用する溶媒として選択することができます。また、上記の性質を持つ化合物で、単離が難しい場合や、単離すると不安定だがTHF溶液中で安定である被験物質の場合、THF溶液として送付していただきますと、THFを溶媒としてAmes試験を実施することができます。
- ③プレート法での試験の実施
- THFは菌株に対する毒性が強く、プレインキュベーション法で試験を実施しますと、陰性対照(溶媒対照)においても生育阻害が発現します。そのため、プレート法で試験を実施する必要があります。日本国内ではプレインキュベーション法で試験を実施するのが一般的ですが、このように、選択した溶媒の性質のためプレート法を採用しても、安衛法や化審法の申請の上で問題はありません。
以上のように、Ames試験においてTHFを使用する場合、プレインキュベーション法では試験を実施できず、プレート法を採用せざるをえないという制約があります。被験物質の溶解性や安定性の都合でTHFを溶媒として使用せざるをえない場合も対応いたしますので、ご相談ください。
参考文献
Maron, D. M., J. Katzenellenbogen and B. N. Ames:Compatibility of organic solvents with the Salmonella/microsome test, Mutation Res., 88, 343-350 (1981).